フィラリア症とは
犬糸状虫というフィラリアの一種である寄生虫が蚊を媒介として犬に感染し、最終的には犬の心臓に寄生して循環器で障害を起こします。人畜共通感染症であるこの病気は、フィラリア症または犬糸状虫症と呼ばれています。1980年代を迎えるまでは犬の死因の約半数がフィラリア症でした。
そもそもフィラリアってどんな虫?
フィラリアは”寄生虫”で、更に分類したうちの一種である”犬糸状虫”がフィラリア症を引き起こします。フィラリアの成虫はオスが約20cm、メスが約30cmの白くて細長い素麺のような虫です。成虫の寿命は約5年です。
フィラリアの感染サイクル
- 感染犬の体内で蚊のメスの成虫がミクロフィラリア(蚊の赤ちゃん)を生む
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- フィラリア感染犬の血を蚊が吸うときにミクロフィラリアを体内に取り込む
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- 蚊の体内のミクロフィラリアが2回脱皮をして感染能力を持つ幼虫となる
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- 幼虫を持つ蚊が非感染犬の血を吸うとき、幼虫は犬の体内へ移動する
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- 約2ヶ月かけて幼虫は皮膚の下や筋肉の中で脱皮をして成長する
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- そこから約3ヶ月かけて心臓や肺動脈に移動して成虫となり、寄生する
感染の流れはこんな風になっていて、蚊に刺されてから約6ヶ月で成虫になり、心臓や肺動脈に寄生します。
フィラリア症の症状
- 食欲不振
- 元気喪失
- 嘔吐
- 咳
- ワインのような血尿
- 腹水が溜まる(お腹が膨れる)
- 肺に水が溜まる(肺水腫)
- 呼吸困難
- 失神
大静脈症候群
フィラリアに多数寄生されている場合、大動脈症候群(フィラリア成虫が心臓の弁の血流を阻害し、弁が閉じるのを妨げる)という急性症状が出ることがあります。緊急性がとても高く、心臓からフィラリアを取り除く手術が必須となります。しかし、体が弱った状態で麻酔をかけるのに加えて心臓を開くことになるため、多くの子は亡くなってしまいます。
フィラリア症の原因
フィラリア予防を怠ったことが原因です。フィラリア予防は飼い主さんの義務と言えます。大袈裟に感じるかもしれませんが、感染してから後悔するようでは遅いのです。
フィラリア症の予防/治療
フィラリア症の予防
- フィラリアの予防薬の投与を欠かさない
予防薬は約1ヶ月間、体内の虫を駆除してくれます。これは虫が入ってくるのをバリアしているのではなく、あくまで筋肉や皮膚の下にいる間の幼虫を駆除するための薬です。ミクロフィラリアや成虫には効果がありません。
基本的に蚊の活動開始時期〜蚊が活動しなくなった2ヶ月後までが投与期間とされていますが、予防期間は住んでいる都道府県によって違うので、引っ越しなどで転院した際は獣医さんに投与期間を必ず確認しましょう。
- 生活環境の改善
蚊が多い時間帯や場所へ散歩に行かない、虫除けのグッズを使って蚊を忌避するなどです。
駆虫薬を飲ませる前に血液検査が必要なのはなぜ?
フィラリアの予防薬を飲ませるには年1回の血液検査が必要です。薬の吐き出しや薬液が皮膚にしっかりついていなかったなどが原因できちんと予防できていないことがあるからです。フィラリア(成虫)がいる状態で予防薬を飲ませてしまうと血管の中で死骸が詰まり、血圧が急低下して意識障害が起こることがあります。いわゆるアナフィラキシーショックです。そうならないためにも感染していないかどうかの検査はとても大切です。
子犬は生後2ヶ月頃から予防を始めます。フィラリアは成虫になるのに約6ヶ月かかり、幼虫もいるはずがないので最初は検査は必要ありません。その後、蚊の活動開始時期に合わせて年1回検査をします。病院によっては予防薬の初投与から半年後にフィラリアの検査をするところもあるようです。
フィラリア症の治療
内科治療
フィラリアはボルバキアという菌を持っていて、このボルバキアがいなくなるとフィラリアは生命を維持できなくなります。まずは塩酸ドキシサイクリンという抗生物質を4週間かけて投与し、徐々にボルバキアを減らしていきます。ボルバキアが消えてフィラリア単体になると、犬の身体の中で自然分解されます。
外科治療
全身麻酔をかけて心臓内のフィラリアを取り除く手術です。内服薬ではどうにもできない重度のフィラリア症の場合に行われますが、体が弱っている状態での手術になるので、残念ながら術中や術後に亡くなる子が多いです。ハイリスクではありますが、順調に回復すれば元の元気な姿をまた見られるようになるかもしれません。
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