外耳炎とは
犬の外耳道(穴の入り口から鼓膜まで)の構造はL字になっています。この外耳道で起きる炎症を外耳炎と言います。垂れ耳の子は耳の中が蒸れやすく、立ち耳の子よりも外耳炎になりやすいです。また、口周りの毛が伸びる犬種は耳の中にもしっかり毛が生えるので、蒸れの原因にもなるので定期的にチェックしましょう。アトピーの子も外耳炎になりやすいので注意が必要です。
外耳炎の症状
- 首のあたりを掻く
- 頭をブルブル振る
- 耳から異臭がする
- 耳介(耳たぶ)が赤い、ガサガサしている
- いつもより耳が汚れている
- 耳のあたりを触ると嫌がる
このような症状がみられたら外耳炎の可能性があります。治療せずに放置すると、症状が慢性化し、外耳道の皮膚がボコボコに腫れ、膿や強い痛みが出ます。重度の外耳炎は手術で耳を切開しないといけなくなります。
外耳炎になったときに気を付けなければいけないのが”耳血腫”という病気です。何かしらの衝撃(外耳炎による耳の痒みで頭を何度もブルブル振るなど)で耳介の毛細血管が切れて、皮膚と軟骨の間に血が溜まり、耳介が腫れます。耳血腫が小さいうちは注射針で中の血液を抜きますが、大きくパンパンに腫れあがると手術で切開などの処置をする場合があるので、早期発見・治療が大切です。
外耳炎の原因
人間と同じで、犬の耳はそもそも掃除をする必要があまりなく、自然と汚れが出ていくしくみになっていますが……
- 耳疥癬(耳ダニ)
耳垢などを餌にして成長、繁殖します。真っ黒な汚れが出るのが特徴です。
- 免疫力の低下などによって常在菌(健康な体にもいる菌)が異常に繁殖する
犬の外耳炎で一番の原因になる菌はマラセチア菌です。
- 耳に水が入ったり、耳の中の毛が伸びることで蒸れる
- 綿棒で掃除する
といったことが原因で炎症を起こします。外耳炎の一番の原因は、綿棒で掃除をすることだと言われています。自然と外に出てくるはずの汚れを綿棒で押し込んでしまったり、外耳道を擦ることによって傷をつけてしまうので、飼い主さんは綿棒は使わず、耳の穴の外に出てきた汚れを軽く拭く程度にしましょう。
外耳炎の予防/治療
外耳炎の予防
体質や病気があるとどうしても防ぐことが難しいので完全に予防することはできません。耳を触られるのが苦手な子は、外耳炎の発見が遅れたり悪化してから病院に来ることも珍しくなく、診察時に獣医さんが耳を診ようとすると痒みや痛みのせいで暴れてしまい、耳を触られるのがもっと嫌になる……という悪循環になりかねません。飼い主さんがしてあげるべきことは、愛犬が少しでもストレスなく過ごせるように耳を触る練習をすることだと思います。それが一番の予防に繋がるのではないでしょうか。
外耳炎の治療
耳疥癬みみかいせんによる炎症
「ミミヒゼンダニ」と呼ばれるダニが耳の中に寄生するので、駆除する薬を投与します。(コリー系統の犬種は駆虫薬で神経症状が出る可能性があるので要注意!死亡例があります!)完全にいなくなるまで少し時間がかかるため、月に何度か病院に通わないといけないかもしれません。獣医さんから指示があれば家で点耳薬を差すこともあります。
耳ダニは他の犬にも感染するので、お散歩の時や、多頭飼いをしているかたは犬同士の接触に気を付けましょう。
細菌による炎症
菌の種類によって薬が違うので、まずは耳垢を取って、どんな菌が悪さをしているのか調べます。治療に取りかかる際、炎症がひどく痛みが強いときは、薬で炎症をある程度抑えてから耳の洗浄・掃除を行います。
耳の中に毛が生える犬種は定期的に抜いてあげた方が良いので、トリミングに行ったときにトリマーさんにお願いするのがおすすめです。動物病院でも、定期健診がてら抜いてもらっても良いと思います。
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