【犬の乳腺腫瘍】症状から原因・予防・治療法までご紹介

犬の乳腺腫瘍犬の病気

乳腺腫瘍とは

乳腺(脇から内股あたりにかけて、乳首に沿って存在する組織)にできる腫瘍です。初期段階では乳首の周辺にコリコリしたしこりができるのが特徴です。メスだけの病気と思われがちですが、ごく稀にオスもなることがあります。シニア期に入る7歳前後から発生が増えていきます。乳腺腫瘍の良性と悪性の比率はほぼ50:50で、悪性のうちの約50%が転移する可能性が高いと言われていますが、早期発見、早期治療では完治が望めることもあります。

乳腺腫瘍の症状

良性や悪性初期は乳首に小さいしこりのようなものがある程度ですが、悪性で腫瘍が大きくなってくると、

  • 体重が短期間で激減する
  • 痛みで食欲、活発さが無くなる
  • 患部を気にして舐める
  • 腫瘍がいびつな形になったり、数が増える
  • 見た目が赤く、熱を持っている
  • 広範囲の炎症、化膿を起こす(痛みが出る)

といった症状が出てきます。良性でも腫瘍が大きくなることがあるので、見た目だけで判断することはできません。

炎症性乳癌について

腫瘍が赤く熱を持っていて炎症を起こし化膿している場合には炎症性乳癌えんしょうせいにゅうがんを視野に入れなければなりません。乳腺腫瘍の中でも転移率と悪性度がかなり高い癌で、体の浮腫むくみや激痛を伴います。炎症性乳癌は手術をするとさらに炎症が広がってしまい、手術の傷口が閉じにくい、抗癌剤が効きにくいという特徴があり、治療法が確立していません。発生率は低いですがタチの悪い腫瘍であることは間違いないでしょう。

乳腺腫瘍の原因

  • 避妊手術をしていない

メスは2回目の発情を迎える前に避妊手術をすると乳腺腫瘍の発生がグッと抑えられます。

  • 肥満

どの病気にも言えることですが肥満は万病の元です。

乳腺腫瘍の予防/治療

乳腺腫瘍の予防

女性ホルモンと関係があると考えられている乳腺腫瘍の発生率は、最初の発情を迎える前に避妊手術を行なうと1%未満、2回目の発情までに避妊手術を行なうと8%、3回目の発情までに避妊手術を行なうと25%と言われています。(それ以降の避妊手術では予防効果はほとんどなし。)未避妊の子が乳腺腫瘍の手術を受ける際に避妊手術も行なうと、その後の再発リスクを50%減らすことができるという報告もあります。高齢+体が弱っている状態での手術は麻酔の影響による体への負担も大きいので、獣医さんと相談した上で決めるのが良いと思います。

オスでは一部の精巣腫瘍が原因で雌性化しせいか(メスのような体になる)という現象が起きることがあります。それにより女性ホルモンの働きが活発になり乳腺腫瘍の発生率が上がると言われているので、オスも去勢手術が大事なのだと思います。

乳腺腫瘍の治療

放射線治療

放射線を照射して癌細胞の増殖を防いだり、癌細胞を殺す治療法です。

  • メリット
    • 細胞分裂が活発に行われている癌細胞は放射線の影響を受けやすく、抗癌剤よりも効果が期待できる。
    • 手術よりも麻酔をかける時間が少ないので身体への負担は比較的軽い。
    • 手術では難しい部位にも照射できる。
    • 身体の機能や形を温存して治療できる。
  • デメリット
    • 照射中に動くと他の細胞にも影響が出る可能性があるため、全身麻酔や鎮静を毎回かけなければならない。
    • 健康な細胞にも影響が出ることがある。
    • すぐに出る副作用と数ヶ月〜数年後に出る副作用がある。
    • 放射線治療を行える病院が少ない。

内科的治療

内服薬や抗癌剤による治療です。

外科的治療

転移している場合や炎症性乳癌を除き、手術が一番効果的です。

一般的には腫瘍の大きさが3cmを超えてくると転移率が上がってくるので手術をした方が良いです。3cm以下の腫瘍であっても早いうちに病院へ行き、細胞診さいぼうしんといって腫瘍に針を刺して細胞を取る検査をすることをまずおすすめします。精度100%の検査ではありませんが、ある程度のことは分かります。

乳腺腫瘍は他の癌と比べて抗癌剤や放射線治療が効きにくいため、小さいうちにできるだけ早く手術で切除するのが望ましいです。

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