【犬の歯周病】症状から原因・予防・治療法までご紹介

犬の歯周病犬の病気

歯周病とは

歯の周辺で細菌に感染すると起きる炎症を歯周病と言います。放っておくと色々な臓器が病んでいく怖い病気です。フードの食べかすが口の中に残っていると約6〜8時間で歯垢プラーク(細菌の塊)として歯に付着し、歯茎に炎症を起こし始めます。溜まった歯垢は約3〜5日で歯石になり、そこから更に細菌が繁殖していきます。細菌が増えると、炎症が悪化して歯と歯茎の境目にあるポケットが深くなってしまうのです。

↑ここまでの状態が歯肉炎です。

歯肉炎が進行すると次は歯周炎になり、炎症の範囲が広がります。更に、歯周炎が進行すると歯槽膿漏になり、歯を支えている骨が溶け始めて顎の骨折にも繋がります。

歯周病の症状

歯周病には段階があって、症状が変わってきます。

  • 歯肉炎の段階
    • 少し口臭がする
    • 歯茎の縁が赤い
    • たまに歯茎から出血がある
    • 歯に黄色や茶色っぽい汚れが付いている
  • 歯周炎の段階
    • 口臭がきつくなる
    • 歯茎全体が赤くなる
    • 歯がグラグラする、抜ける
    • くしゃみを頻繁にするようになる
    • 歯が隠れるほどの汚れが塊で付いている
    • 固いものが食べられない、食欲が落ちる
    • 唾液の分泌量が増える
    • 口元を触ると嫌がる、痛がる
    • 臓器(心臓、腎臓、肝臓など)に異常が見られる
  • 歯槽膿漏の段階
    • 口から悪臭がする
    • 歯を支えている骨が溶けて顎を骨折する
    • くしゃみをしたときに膿や鼻血が出る
    • 眼の下あたりの皮膚が腫れたり、穴が開く

歯周病の原因

  • 歯磨きがきちんとできていない

歯磨きをしなければどんどん歯石は付いていきます。人が自分の歯を毎日しっかり磨いていても歯医者さんで定期的に歯石取りをしてもらわないといけません。そう考えると、愛犬の歯磨きの必要性が分かると思います。

  • 乳歯が残っている

小型犬に多い乳歯遺残にゅうしいざん(子犬の頃に抜けるはずの乳歯が抜けずに残って永久歯の横に並んで生えてしまっている状態)です。歯が余分に生えていると、それだけ歯石が付きやすくなります。また、乳歯を残したままだと歯並びが悪くなるので、不正咬合ふせいこうごう(歯が正しい位置に無いせいで、上下の歯が上手く噛み合っていない状態)が起こります。

  • 水をあまり飲まない、唾液が少ない

大型犬より小型犬が歯周病になりやすい理由は、水の飲み方や唾液の量にあります。大型犬は豪快に水を飲む子が多く、口内全体に水が行き渡って”うがい”ができます。それに対して小型犬は静かに水を飲む子が多く、奥歯まで水が行き渡りにくいです。

犬の唾液には、口内の乾燥を防いだり汚れを洗い流すなどの役割があり、分泌量が少ないと細菌は繁殖しやすくなります。

  • 柔らかいものばかり食べている

しっかりした歯を作るには”噛む”ことが大切です。噛むことで唾液の量を増やしたり、顎を強くします。よくフードを丸呑みする子がいますが、大体の犬は丸呑みしても消化できるように胃液がたくさん出る仕組みになっています。喉に詰まらせて苦しそうにしたり、毎回吐くことがなければそんなに心配はいりません。(歯のことを考えれば、もちろん噛んだほうが良いです!)

ちなみに…

半生フード → 缶詰や手作り食 → ドライフードをふやかす → ドライフード

という順番に歯石が付きやすいと言われてますが、いずれにせよ何を食べても歯のケアをしなければ歯周病は進んでいくので、半生タイプのフードや手作り食を与えているから悪いというのはありません。ただ、手作り食は栄養のバランスを取るのが難しく、尿路結石の原因になり得るので注意が必要です。

歯周病の予防/治療

歯周病の予防

何度も言いますが、愛犬を歯周病にさせないためには歯ブラシで磨くのが一番です。それ以外では、タオルを噛ませたり、繊維質のおもちゃで遊ばせるのも少し効果があります。歯磨きをしたことがない子に対していきなり口を開けて歯ブラシで磨くのは難しく、嫌がる子がほとんどなので、まずは口を触る練習から始めてください。その時はご褒美(デンタルガムを使うのがおすすめ)も忘れずに!

覚えていて欲しいのは”絶対に無理をしない”こと、”飼い主さんが意地にならない”ことです。犬の最大の武器は口です。攻撃手段である口を掴んで無理矢理こじ開けたりしていると嫌になって咬んでくるようになる子もいます。愛犬との関係が悪化するので、口を触るのが難しい場合は歯ブラシ以外の方法を選びましょう。

歯周病の治療

今、3歳以上の犬の80%が歯周病になっていると言われています。早いうちからのケアが本当に大切です。歯垢の段階では歯ブラシやガーゼなどで取ることができますが、歯石になってしまうと簡単には取れません。人のようにじっとしていられないため、歯石取りは全身麻酔をかけておこないます。乳歯が残っていればそのときに一緒に抜いてもらいましょう。麻酔がかけられない(高齢や持病がある)子は、痛み止めや菌や炎症を少しでも減らす薬を投与するその場凌ぎの治療になります。

     

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