【犬の子宮蓄膿症】症状から原因・予防・治療法までご紹介

犬の病気

子宮蓄膿症とは

子宮蓄膿症しきゅうちくのうしょうは子宮に膿が溜まってしまう病気です。避妊手術をしていないメスに起こる可能性があります。若齢でもなりますが、免疫力の低下やホルモンバランスが崩れやすい中高齢(5歳以降)の子に多いです。

オスを受け入れる発情期に入ると排卵が起こります。排卵後は妊娠や出産の準備をするため、発情期が終わった1〜2ヶ月後に体が黄体期おうたいきに入ります。このときにプロゲステロンという黄体ホルモンが分泌されますが、このプロゲステロンは子宮の出入り口である子宮頸管しきゅうけいかんを閉めたり、免疫力を下げる働きがあります。それと同時に子宮内膜が分厚くなることで、子宮は細菌感染を起こしやすい環境になってしまいます。

子宮蓄膿症の症状

  • 発情の出血が何ヶ月も続いている個体差はありますが、発情の出血は長くて3週間ほどです。)
  • お腹が膨れている
  • 陰部が腫れている
  • いつより元気がない、ぐったりしている
  • 食欲不振
  • 多飲多尿
  • 下痢、嘔吐
  • 熱がある

などさまざまですが、子宮蓄膿症は症状が違う2つのタイプに分けられます。

  • 開放性

膣からおりもの(血混じりだったり白っぽいどろっとした液体)や膿が出てくるタイプです。陰部を気にして舐めたり、陰部の周辺の毛が汚れたりします。

  • 閉鎖性

膣からは何も出ず、飼い主さんが気付きにくいため、重症化しやすいのがこのタイプです。怖いのは子宮に膿が溜まりすぎてしまい、子宮破裂による腹膜炎、急性腎不全、敗血症、播種性血管内凝固はしゅせいけっかんないぎょうこといった命に関わる病気になってしまうことです。病院で適切な治療を受けても助からないことがあります。

子宮蓄膿症の原因

細菌感染

大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラ菌など原因となる菌はさまざまです。

子宮に入ってきた細菌は自然に排除されるようになっています。しかし、黄体期に分泌されるプロゲステロンという黄体ホルモンの働きで子宮頸管が閉じ、そのホルモンの影響や高齢で免疫力が弱っているところに細菌が入ってくると、増殖を止めることができずに子宮で炎症が起きて膿が溜まっていきます。

子宮蓄膿症の予防/治療

子宮蓄膿症の予防

この病気は避妊手術で予防できます。

子宮蓄膿症の治療

内科治療

内服薬で子宮蓄膿症を完治させることはできません。

外科治療

子宮蓄膿症は緊急性が高く、一晩で急に膿が溜まってぐったりすることもあります。手術で子宮と卵巣をすべて取り除く方法でしか治すことはできません。術後は血液検査を定期的に行なって、炎症の数値が下がるまで抗生剤を服用します。

手術が成功しても、子宮蓄膿症の発見が遅れたことで細菌が出す毒素が広がりすぎてしまい、血栓や急性腎不全で亡くなってしまう子もいます。そうならないためにも怪しい症状があればすぐに病院へ行きましょう。

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